その他の年金

本記事では、自営業者向けの年金や中小企業の従業員向けの年金(退職金)などその他の年金について紹介します。

自営業者向けの年金

自営業者は会社員とは違って、厚生年金保険に加入できず、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金の恩恵も受けることができません(iDeCoには加入できます)。会社員と比べると老後の年金が手薄になっているため、自分で老後のためにお金を積み立てていく国民年金基金という制度があります。これにより、国民年金の給付に加えて追加の給付を老後に受け取ることができます。

国民年金基金に加入する条件

国民年金基金に加入するためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 国民年金の第一号被保険者(自営業者など)
    • 会社員、公務員や配偶者に扶養されている専業主婦(夫)は加入することができません。
    • 国民年金で一部または全部の保険料免除の認定を受けている方、農業者年金の被保険者も加入することはできません。

国民年金基金の給付

国民年金基金の給付としては老齢年金と遺族一時金があります。老齢年金は受給期間などに応じて以下のように区分されています。

  • A型
    • 65歳支給開始の終身年金
    • 15年間保証
  • B型
    • 65歳支給開始の終身年金
  • I型
    • 65歳支給開始の15年間の有期年金
    • 15年間保証
  • II型
    • 65歳支給開始の10年間の有期年金
    • 10年間保証
  • III型
    • 60歳支給開始の15年間の有期年金
    • 15年間保証
  • IV型
    • 60歳支給開始の10年間の有期年金
    • 10年間保証
  • V型
    • 60歳支給開始の5年間の有期年金
    • 5年間保証

国民年金基金の掛金の額

国民年金基金の掛金の額は加入するときの年齢と、将来的に上で紹介したどのタイプの老齢年金を受給するかで異なります。

1口目は終身年金のA型またはB型から選択します。2口目以降に加入する場合はA型、B型以外にもI型~V型から選択することができます。なお、掛金の額は68,000円/月を超えることはできません。iDeCoにも加入する場合、iDeCoの掛金と合計して68,000円/月を超えることができません。

例えば、30歳にA型に1口だけ加入する場合は、10,300円/月の掛金がかかり、65歳以降に年金として20,000円/月受け取ることができます。

中小企業の従業員向けの退職金制度

大企業の場合は退職金の制度があるので、退職時にはまとまったお金を受け取ることができます。しかし、中小企業の場合、従業員の退職のためにまとまったお金を積み立てておく余裕がなく、自力で退職金を準備することができない会社も多くあります。そのような会社でも従業員の退職時に退職金を支給できるようにするための制度が国の中小企業退職金共済制度(中退共)といいます。

会社側が従業員ごとに5,000円/月~30,000円/月の掛金を積み立てていくことで、従業員の退職時に退職金を支給することができます。

小規模企業の経営者のための退職金制度

規模が小さい企業の場合、利益があまりなく、将来的に廃業した場合にその後の生活に困ってしまうケースがあります。そのような場合に備えて、小規模企業の経営者や役員の将来の生活資金を積み立てるための退職金制度があります。これを小規模企業共済といいます。

経営者や役員が1,000円/月~70,000円/月の範囲で積みたてていき、事業を廃業した場合や65歳以上に達した場合に共済金として給付を受けることができます。

掛金には小規模企業共済等掛金控除という所得の控除が適用されることで、納付する税金が安くなるメリットがあります。また、給付金は退職金という扱いなので、非課税の枠が多く税金の面でお得な制度になります。

Next Post Previous Post