年金保険(4)~国民年金保険料の免除制度~
保険料全額免除
本人、配偶者、世帯主の前年の所得が一定以下で国民年金の保険料を納付することが厳しい場合、申請して認められることで保険料の全額の納付が免除されます。
- 所得の条件
- (被扶養者の数+1)×35万円+32万円
- 保険料免除された期間の国民年金の額
- 本来の年金額×1/2
例えば、被扶養者として配偶者と子供が1人いる場合、被扶養者は2人となるので、全額免除されるための所得条件は3×35万円+32万円=137万円となります。また、20歳から60歳までの国民年金の被保険者の間ずっと全額免除の対象であった場合の老齢基礎年金の額は令和4年度で777,800円×1/2=388,900円となります。
保険料免除の対象となった後に、保険料を支払う余裕ができた場合、免除された時期から10年以内なら追納によって免除された保険料を支払うことができます。これにより、満額の年金を受給することができるようになります。なお、追納の制度については、以降で紹介する免除制度、納付猶予制度で共通です。
保険料4分の3免除
本人、配偶者、世帯主の前年の所得が一定以下で国民年金の保険料を納付することが厳しい場合、申請して認められることで保険料の4分の3の納付が免除されます。
- 所得の条件
- 88万円+38万円(扶養控除の額)×被扶養者の数
- 保険料免除された期間の国民年金の額
- 本来の年金額×5/8
例えば、被扶養者として配偶者と子供が1人いる場合、被扶養者は2人となるので、4分の3免除されるための所得条件は88万円+38万円×2=164万円となります。また、20歳から60歳までの国民年金の被保険者の間ずっと4分の3免除の対象であった場合の老齢基礎年金の額は令和4年度で777,800円×5/8=486,125円となります。
保険料半額免除
本人、配偶者、世帯主の前年の所得が一定以下で国民年金の保険料を納付することが厳しい場合、申請して認められることで保険料の半額の納付が免除されます。
- 所得の条件
- 128万円+38万円(扶養控除の額)×被扶養者の数
- 保険料免除された期間の国民年金の額
- 本来の年金額×6/8
例えば、被扶養者として配偶者と子供が1人いる場合、被扶養者は2人となるので、半額免除されるための所得条件は128万円+38万円×2=204万円となります。また、20歳から60歳までの国民年金の被保険者の間ずっと半額免除の対象であった場合の老齢基礎年金の額は令和4年度で777,800円×6/8=583,350円となります。
保険料4分の1免除
本人、配偶者、世帯主の前年の所得が一定以下で国民年金の保険料を納付することが厳しい場合、申請して認められることで保険料の4分の1の納付が免除されます。
- 所得の条件
- 168万円+38万円(扶養控除の額)×被扶養者の数
- 保険料免除された期間の国民年金の額
- 本来の年金額×7/8
例えば、被扶養者として配偶者と子供が1人いる場合、被扶養者は2人となるので、4分の1免除されるための所得条件は168万円+38万円×2=244万円となります。また、20歳から60歳までの国民年金の被保険者の間ずっと4分の1免除の対象であった場合の老齢基礎年金の額は令和4年度で777,800円×7/8=680,575円となります。
納付猶予制度
保険料免除制度とは別に納付猶予制度というものもあります。これは、20歳以上50歳未満の方で、本人、配偶者の前年の所得が一定以下の場合、申請して認められることで保険料の納付を猶予できる制度です。保険料免除制度とは異なり、世帯主の所得要件は問われません。また、保険料免除制度の対象となった期間は老齢基礎年金の対象となり、保険料を全額納付していた場合と比較して、2分の1~8分の7の年金が支払われていました。しかし、納付猶予制度の場合は、その期間は老齢基礎年金の額には反映されません。一方、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間としてはカウントされます。
- 所得の条件
- (被扶養者の数+1)×35万円+32万円
- 保険料全額免除の条件と同じ
- 納付猶予期間の国民年金の額
- なし(反映されない)
学生納付特例制度
20歳以上の学生の方で、本人の前年の所得が一定以下の場合、申請して認められることで、在学中の保険料の納付が猶予されます。配偶者や世帯主がいる場合でも、本人の所得が条件を満たしていればこの制度の対象となります。また、納付猶予制度と同様に、老齢基礎年金の額には反映されません。
- 所得の条件
- 128万円+38万円(扶養控除の額)×被扶養者の数
- 保険料半額免除の条件と同じ
- 納付猶予期間の国民年金の額
- なし(反映されない)
法定免除制度
今までに紹介した免除制度・納付猶予制度は所得の条件がありましたが、それ以外に障害などの条件にあてはまる場合、条件に当てはまった月の前月から国民年金の保険料の納付が免除されます。
- 法定免除となる条件
- 生活保護のうち、生活扶助を受けている方
- 障害基礎年金、障害厚生年金(2級以上)を受給している方
- 国立ハンセン病療養所などで療養している方
- 法定免除期間の国民年金の額
- 本来の年金額×1/2