年金保険(2)~国民年金の給付 パート1~

 この記事では、年金保険のうち、国民年金の老齢基礎年金、障害基礎年金について紹介します。

老齢基礎年金

国民年金の給付のうち、最も身近なものが老齢基礎年金です。65歳になるともらえる年金になります。では、どのような場合に給付を受けられるのでしょうか。

老齢基礎年金を受給するための要件

国民年金の保険料を支払った月(保険料納付済期間)と保険料免除期間(※)を足して10年以上あれば、65歳(65歳時点で10年に達していない場合は、10年に達した時)から老齢基礎年金を受給することができます。

(※)保険料免除期間:所得が著しく低いなどの理由で保険料の一部または全部の支払いを免除する申請をしてそれが認められ、かつ、一部免除の場合は免除されていない部分の保険料を支払った期間

老齢基礎年金の給付額

令和4年度(2022年度)の老齢基礎年金の給付額は以下となります。

777,800円×(保険料納付済期間の月数+保険料の1/4を免除された期間の月数×7/8+保険料の半分を免除された期間の月数x6/8+保険料の3/4を免除された期間×5/8+保険料全額を免除された期間×4/8)/480

一見、複雑な計算式のように見えますが、保険料の支払いを免除された期間がない場合は以下のようにシンプルになります。

777,800円×保険料納付済期間の月数/480

国民年金の保険料を支払うのは20歳から最長40年なので、一度も未納することなく保険料を納めていた場合、老齢基礎年金の給付額は777,800円となります。

例えば、学生の間(20歳から22歳までの24か月)、国民年金を支払わなかった場合、老齢基礎年金の給付額は738,910円となります。

老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ支給

老齢基礎年金の給付をもらえるのは原則65歳からになりますが、人によっては60歳で仕事をやめたので早めに年金を受け取りたい人や、65歳を過ぎても仕事をして収入があるので年金を急いで受け取らなくてもよい人がいます。このような人たちのために繰上げ・繰下げ支給の制度があります。

  • 繰上げ支給
    • 60歳から65歳になるまでの間に繰上げて老齢基礎年金を受け取ることができます
    • ただし、繰上げた月数1か月につき0.4%受け取れる年金が減額されます。
      • 60歳で受け取り始めた場合、24%減額された年金を受け取ることになります。
  • 繰り下げ受給
    • 66歳から75歳までの間のタイミングで老齢基礎年金の受給申請をすると、その翌月から年金を受け取ることができます。
    • 繰下げた月数1か月につき、0.7%受け取れる年金が増額されます。
      • 75歳で受け取り始めた場合、84%増額された年金を受け取ることができます。

障害基礎年金

障害基礎年金は、一定の障害状態にある場合にもらえる年金になります。

障害基礎年金を受給するための要件

障害基礎年金を受給するためには以下の条件を満たす必要があります。
  • 障害の原因となった病気やけがについて初めて医師等の診察を受けた日(初診日)が以下の期間にあること
    • 国民年金に加入している期間
    • 20歳前の期間
    • 60歳から65歳までの間で年金に加入していない期間
  • 障害認定日(障害の状態を定める日。初診日から1年6か月経過時、または、それ以前に症状が固定された場合はその日)に障害等級表(※)の障害1級、または2級に該当すること
  • 初診日の前日の時点で、初診日がある月の前々月までの被保険者期間(20歳以降の期間)の中に、国民年金の保険料を納付した月、一部または全部の保険料が免除された月が2/3以上あること
    • 令和8年4月1日前なら、上記要件を満たしていなくても初診日の前日の時点で、初診日がある月の前々月までの1年間に保険料未納の月がなければ条件を満たしたものとする
    • 初診日が20歳前の場合、この条件は満たさなくてよい
(※)障害等級表は日本年金機構のホームページで公開されています。

障害基礎年金の給付額

令和4年度(2022年度)の障害等級1級、2級それぞれの場合の障害基礎年金の給付額は以下の通りです。

  • 障害等級1級
    • 972,250円+子の加算額(※)
  • 障害等級2級
    • 777,800円+子の加算額(※)

(※)子の加算額は18歳未満の子の数と20歳未満の障害等級1級または2級の子の数の合計によってきめられています。2人目までは1人あたり223,800円、3人目以降は1人あたり74,600円です。

例えば、障害等級1級の人に子供が3人(10歳、8歳、4歳)いる場合の給付額は972,250+223,800+223,800+74,600=1,494,450円となります。

次回は、パート2として遺族基礎年金などの給付について紹介します。

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