雇用保険(1)~失業した場合の給付 パート1~

 この記事では、雇用保険の特長や失業した場合の給付を紹介します。

雇用保険の特長

労働者として仕事をしていると、会社の業績が悪化して仕事を失ったりする可能性があります。このような場合に新たに仕事を探す人の生活を支えるための給付をして労働者の生活を支えてくれるのが雇用保険です。それ以外にも、スキルアップのための教育費の援助、育児休業を取得する際の給付金なども雇用保険で定められています。本記事では失業手当と呼ばれている求職者給付(65歳未満の場合)について紹介します。

求職者給付をもらうための条件

自己都合で会社を辞めた場合に求職者給付をもらうためには、会社を辞める前の2年間のうち12か月間、会社に雇用されて雇用保険の被保険者となっている必要があります。

会社が倒産したため失業した場合や妊娠や配偶者の転勤のためやむを得ず仕事を辞める場合などは、会社を辞める前の1年間のうち6か月間、雇用保険の被保険者になっていれば条件を満たします。

なお、単純には上記条件を満たしていない場合でも病気などで休職していた期間がある場合など条件を満たす場合があります。

受給資格者の種類

求職者手当をもらえる期間は自己都合よりも会社が倒産した場合が長くなります。求職者給付をもらえる期間を決める要因の一つとして受給資格者の種類があります。受給資格者には以下のように分けられます。

  • 一般の受給資格者
    • 以下の受給資格者のいずれにも該当しない場合
  • 特定受給資格者
    • 会社の倒産や事業縮小などにより失業した方
    • 解雇された、賃金未払いがあった、労働基準法違反に該当する長時間労働があった、有期雇用で契約更新の確約があったが更新されず失業した方など
  • 就職困難者
    • 障害者や更生保護法に該当する方など一般の方に比べて就職が困難な方
  • 特定理由離職者
    • 有期雇用で更新されず失業した方
    • 正当な理由(病気、妊娠、配偶者の転勤など)によって失業した方

求職者給付の支給までの流れ

会社を辞めた後、求職者給付を受給するまでの一般的な流れを簡単に紹介します。

(1) 離職して少し経つと、会社から雇用保険被保険者離職票などの書類が届きます。
(2) 離職票など必要書類を持って、ハローワークに行きます。
(3) ハローワーク側で失業認定日を決めて雇用保険被保険者証とともに求職者に通知します。
(4) ハローワークで職業紹介を求める、求人に応募するなどの求職活動を行います。
(5) 失業認定日(4週間に1回)に失業認定申告書と受給資格者証をもってハローワークに行きます。ハローワークで失業認定されると求職者給付が支給されます。
(6) (4)、(5)の流れを就職先が決まる、または、求職者給付の支給期間が終わるまで繰り返します。

求職者給付の金額

求職者給付の金額は仕事をしていた時の給料に応じて決められます。具体的には離職前6か月間の給料を日額に換算した金額の50%~80%(60歳以上65歳未満の場合は45%~80%)となります。ただし、上限額、下限額があるので、必ずしもこの範囲に収まるわけではありません。

求職者給付の支給日数

求職者給付の支給日数は上で紹介した受給資格者の区分と被保険者であった期間、失業者の年齢によって異なります。それぞれ以下の通りとなります。

  • 一般の受給資格者、特定理由離職者(正当な理由で失業した場合)

被保険者であった期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 対象外 90日 120日 150日

  • 特定受給資格者、特定理由離職者(有期雇用で更新されなかった場合)

被保険者であった期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

  • 就職困難者の給付日数

被保険者であった期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上60歳未満 360日

次回は65歳以上の方、季節的に短期間雇用される労働者、日雇労働者の場合の求職者給付を紹介します。

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