雇用保険(2)~失業した場合の給付 パート2~
65歳以上の被保険者が離職した場合
65歳未満でフルタイム勤務している労働者はパート1の記事で紹介した通り、一般被保険者として離職理由や被保険者期間、年齢に応じて異なる日数の求職者手当をもらいます。65歳以上の被保険者は高年齢被保険者と呼ばれ、一般被保険者とは異なる仕組みで求職者給付が支給されます。
まず、給付を受け取れる条件としては一般被保険者は離職前2年間に12か月以上被保険者である必要がありましたが、高年齢被保険者は離職前1年間に6カ月以上被保険者であれば条件を満たします。
また、一般被保険者は4週間ごとにハローワークに行って失業認定を受ける必要がありましたが、高年齢被保険者の場合は一度だけ失業認定を受けるだけで構いません。
一般被保険者と比べて条件が緩い分、もらえる給付額は少なく以下の通りです。
- 被保険者期間が1年未満の場合:給料を日額に変換した額×30日
- 被保険者期間が1年以上の場合:給料を日額に変換した金額×50日
季節的に雇用される被保険者が離職した場合
一般被保険者、高年齢被保険者以外にも被保険者の種類があります。それは冬の間だけ雪かきの仕事に従事するような一年のうち短期間だけ仕事をする労働者です。この労働者を短期雇用特例被保険者といいます。なお、短期雇用特例被保険者は以下の両方の条件を満たす必要があります。
- 4カ月を超えた期間を定めて雇用されている
- 1週間の労働時間が30時間以上
なお、同じ会社に1年以上雇用された場合は、年齢に応じて一般被保険者か高年齢被保険者に切り替えとなります。
短期雇用特例被保険者が給付をもらうための条件は高年齢被保険者と同様で離職前1年間に6カ月以上あることです。また、失業認定も高年齢被保険者と同様に一度だけで構いません。
短期雇用特例被保険者が離職した場合の給付額は給料を日額に変換した額の40日分となります。
日雇労働者が離職した場合
日雇労働者とは、一日ごとに雇用されている労働者または30日以内の期間を定めて雇用された労働者のことです。ただし、直近2カ月の各月でそれぞれ18日以上同じ会社に雇用されたり、同じ会社に31日以上雇用された場合は日雇労働者とはみなされません。
日雇労働者は仕事をした各々の日に印紙保険料を納付します。この印紙保険料の納付状況によって、離職した時に給付がもらえるかが決まります。
日雇労働者向けの給付には普通給付と特例給付の2種類があり、どちらか一方を労働者が選択して給付を申請します。
- 普通給付
- 支給条件:離職前2カ月で通算26日以上の印紙保険料が納付された
- 支給額:納付された印紙保険料の額と日数に応じて7,500円、6,200円、4,100円のいずれかが失業しているそれぞれの日に支給される
- 失業日のうち週の最初の日は支給されない
- 印紙保険料の納付日数に応じてひと月の支給限度日数が13日~17日のいずれかとなる
- 特例給付
- 支給条件:離職前6カ月で通算78日の印紙保険料が納付された、かつ、各月11日以上納付されている
- 支給額:1日あたりの金額は普通給付と同額。4週間に1回失業の認定が行われ、最大24日分が支給される
- 支給限度日数は60日
次回は、求職者給付以外の給付について紹介します。